肩が痛くて腕が上がらない。服を着替える、髪を結ぶ、夜中にズキズキと痛んで目が覚める。こうした症状でお悩みの方が多いのが「五十肩」です。ある日突然痛みが出始め、日常生活に大きな支障をきたすことも少なくありません。
「年齢のせいだから仕方ない」
「そのうち自然に治ると言われた」
そう言われて我慢を続けている方も多いのではないでしょうか。
しかし、五十肩は状態を正しく見極め、適切にアプローチすることで、痛みの軽減や回復を目指すことが可能です。
このコラムでは、五十肩とはどのような状態なのか、そして鍼灸治療でどのような治療ができるのかについて、分かりやすくお伝えしていきます。
五十肩とは
五十肩は、正式には「肩関節周囲炎」と呼ばれます。四十肩・五十肩という名称は、発症しやすい年代から呼ばれているもので、医学的には同じ状態を指します。
主な症状は、肩関節の痛みと動かしにくさです。腕を上げる、後ろに回す、服の袖に腕を通す、髪を結ぶといった動作がつらくなり、症状が強い場合は、夜間にズキズキと痛み、睡眠を妨げられることもあります。
他には、五十肩の特徴のひとつとして、肩を内側に巻き込むような姿勢(内転・内旋位)でいると、痛みが少し楽になるという点が挙げられます。無意識のうちに、痛い肩をかばうような姿勢をとっている方も少なくありません。
一方で、五十肩と似た症状を示す疾患も存在します。腱板断裂、石灰沈着性腱板炎、頸椎由来の痛みなどは、見た目の症状が似ていても、対応や治療方針が大きく異なります。そのため、強い痛みがある場合や、動かしたときに明らかな違和感がある場合には、まずは整形外科を受診し、必要な検査を受けることをおすすめします。
五十肩と診断されたうえで、「痛みを和らげたい」「動きを取り戻したい」といった段階で、鍼灸治療を併用することも、ひとつの選択肢となります。
なぜ五十肩が起こるのか
五十肩は、はっきりとした原因が特定できない疾患です。転倒や強くぶつけた覚えがないにもかかわらず、ある日突然、肩の痛みや動かしにくさが出てくるケースも少なくありません。
一般的には、加齢に伴う肩関節周囲の組織の変化が関係していると考えられています。肩関節を支えている筋肉や腱、関節包といった組織の柔軟性が低下し、 そこに血流の低下や小さな炎症が重なることで、痛みや可動域制限が生じます。
また、日常生活での肩の使い方も大きく影響します。長年のデスクワークや家事、片側ばかりでの作業などによって、肩関節に負担がかかり続けている場合、五十肩を発症しやすくなることがあります。
さらに、五十肩は安静にしすぎることによって悪化することもあります。痛みをかばって肩を動かさない期間が長くなると、関節まわりが硬くなり、動かしにくさが強く残ってしまう場合もあります。
このように五十肩は、加齢による変化、血流の低下、日常の負担、炎症や拘縮など、複数の要因が重なって起こると考えられています。だからこそ、現在の状態を正しく見極め、痛みの強さや時期に合わせた適切なケアが重要になります。
五十肩に鍼灸治療でできること
当院の五十肩に対する鍼灸治療では、痛みの強さや肩の動かしやすさ、その方の生活状況に合わせた施術を行っていきます。
五十肩は、時期によって状態が大きく変化します。痛みが強く出ている時期に無理に動かしてしまうと、かえって症状が悪化してしまうこともあります。そのため当院では、まず現在がどの段階なのかを丁寧に確認したうえで、施術内容を決めていきます。
痛みが強い時期には、肩関節まわりの炎症や筋緊張をやわらげ、血流を促すことを目的に施術を行います。肩だけでなく、首や背中、腕など関連する部位にもアプローチすることで、肩への負担を軽減し、痛みが和らぎやすい状態を目指します。
動かしにくさが目立ってきた時期には、硬くなった筋肉や関節まわりの組織に対して、無理のない刺激を加え、肩が少しずつ動かしやすくなるようサポートしていきます。
また鍼灸治療は、肩だけを見るのではなく、全身のバランスや自律神経の状態を整えることも大切にしています。睡眠の質が改善したり、体全体の緊張が抜けたりすることで、回復を後押しするケースも少なくありません。
五十肩は、焦らず段階に応じたケアを続けていくことが大切です。整形外科での診断を踏まえたうえで、「痛みを和らげたい」「日常生活を少しでも楽にしたい」という方にとって、
鍼灸治療は有効な選択肢のひとつとなります。